2018年04月23日

アメリカンコーヒーの整理(ゴーフ)

どうも、こんばんは。ゴーフです。
アメリカンコーヒーの定義の混乱にはこんな物語があったのではというのを、おおいに推測を混ぜつつ整理してみたいと思います。

【1】
日本でアメリカンコーヒーなる名前の飲み物がうまれる。
しばらくは決まった定義がないが、共通点としては普通のコーヒーよりも豆の成分に対してお湯の比率が高いなど、ざっくりいうと「薄い」コーヒー。(ドリップコーヒーのお湯割りだったり、粗挽きにして薄く抽出したり。なお西部開拓時代のアメリカで普及したパーコレーターでの抽出は必然的に粗挽きになる)
出始めた頃、日本においてコーヒーは深煎りが主流だったこともあり、アメリカンコーヒーも同様に深煎りだった。

【2】
近年になるまで、アメリカでは単語の「アメリカン」と「コーヒー」を合わせ「アメリカンコーヒー」となることで、特定の種類のコーヒーを指す言葉になるなどということはなかった。
なので、「アメリカンコーヒー」といえば、「アメリカン」の意味である「アメリカの」「アメリカ人の」「アメリカ産の」「アメリカ式の」、コーヒー、という意味になり、その中のどの意味に捉えるかは聞き手次第・文脈次第だった。
それだけでなくそもそもアメリカでは、「アメリカンコーヒー」なる言葉は一般的ではなく、そういう意味(日本とは異なる意味の言葉)としても使われることはほとんどない言葉だった。
Wikipediaにも「アメリカ人は自国のコーヒーについて「アメリカンコーヒー」と呼称しない」とある。

【3】
当時アメリカの西部では浅煎り、東部では深煎りでコーヒーが飲まれていた。
しかし、おそらくアメリカのそれぞれの地域では、あらゆるローカル食と同様に、アメリカの他の地域では違う飲み方がされているとは一般に知られていなかったであろう。
しかし、他の国ではコーヒーが違う飲み方がされていることは、コーヒーの焙煎の深さを「フレンチロースト」「イタリアンロースト」と呼ぶことから、知っていたと思われる。(ちなみにこれらのローストがそれぞれの国でメジャーだったのは過去の話で、現在はあまりそれぞれの国で見ないらしい。閑話休題)
イタリアンローストとフレンチローストは焙煎の深さの1位と2位の焙煎度のやつなので、そのことからアメリカ国外ではアメリカより深い焙煎で飲まれているイメージがあったかもしれない。
逆に言えば、とくにアメリカ西部では、焙煎の浅さがアメリカのコーヒーの特徴と考えていても、ありえなくはないだろう。
ここまでが前提。

【4】
日本ではその名称からアメリカンコーヒーを「アメリカで飲まれている飲み方」だと勘違いする人が現れた。
そこでおそらく日本人がアメリカ人なりアメリカに住んでた人に「アメリカではこう飲むんだろう?」とアメリカンコーヒーを見せるなりして、アメリカンコーヒーと日本で呼ばれる飲み物をアメリカ人なりアメリカに住んでた人が知ることになる。
で、そのアメリカ人なりアメリカに住んでた人はアメリカ西部の人だったのだろう。
そこで、「アメリカン(アメリカ式の・アメリカ人の)コーヒーはこういうのではない。アメリカン(アメリカ式の・アメリカ人の)コーヒーは浅煎りだ」みたいなことを言われたとしても不思議ではない。
それを聞いた人なり伝言ゲームによって「アメリカンコーヒーの定義は浅煎り。薄く淹れたのをアメリカンコーヒーと呼ぶのは間違い」と勘違いしたのではなかろうか。
だが、あくまでアメリカでの飲み方みたいな文脈での「アメリカン」の翻訳なり解釈であり、何度も言うようにアメリカでは「アメリカンコーヒー」という言葉に「アメリカ式(アメリカ人)のコーヒー」という固定された意味があったわけではない。
その上、あくまで浅煎りは西部での飲み方にすぎないので、そういう意味で「アメリカンコーヒーは浅煎り」は正確でもない。

【5】
かつて、アメリカにおいて単に「アメリカンコーヒー」と言ったときは、「アメリカ式(アメリカ人)のコーヒー」という意味よりは「アメリカ産の豆のコーヒー」(たとえばハワイコナ)を意味するほうが自然だったようだ。(Wikipediaのアメリカンコーヒーの項目の注8から推測)
だが、あくまで「どちらかと言えば」レベルの話っぽく、何度も言うように、アメリカではアメリカンコーヒーなる言葉はなかったようだ。

【6】
その後、イタリアで「カフェ・アメリカーノ」が誕生する。
今、一般的に言われる「カフェ・アメリカーノ」はエスプレッソをお湯で割った飲み物で、日本式のアメリカンコーヒーとも違う飲み物だ。
アメリカーノの名前の由来はアメリカ人の飲み方という説があるが、定かではない。
また、アメリカーノはアメリカ合衆国内で一般的な飲み方ではない(Wikipediaのアメリカーノの項目参照)。
さて、「今、一般的に言われる」と断りを入れたが、それには理由がある。
どうやらイタリアでのカフェ・アメリカーノはもともと、ドリップコーヒー(このカフェ・アメリカーノ用に焙煎した豆を使ったもの)を薄めたものだった。
だが、イタリア人はそんなもの飲まないので喫茶店にそれ用の豆はない。
そのため「イタリア人が普通飲むエスプレッソ」ならあるから、それをお湯で薄めたものがカフェ・アメリカーノとしてイタリアで出されるようになったらしい。

【7】
そして、そのエスプレッソのお湯割りであるカフェ・アメリカーノがアメリカで英語に翻訳され「アメリカンコーヒー」としてエアロプレスコーヒーメーカーの説明書に書かれている。
たぶん近年なって、カフェ・アメリカーノの英訳として「アメリカンコーヒー」なる固有の意味をもった言葉がアメリカにも定着したのだろう。

【まとめ】
というわけで、はじめに言ったように多くの推測を混ぜて、アメリカンコーヒーの定義のゆらぎについて見取り図を作ってみました。
このように見てみると、実用的な定義として考え直す余地はあれど(「エスプレッソのお湯割り」「ドリップコーヒーのお湯割り」「深煎りを粗挽きなりして薄く抽出したもの」「浅煎り」「パーコレーターで淹れたコーヒー」などのどれを指しているかわからないという難点があるからね)、日本式のアメリカンコーヒーをアメリカンコーヒーではないとするのはおかしいし、浅煎りこそアメリカンコーヒーという定義も変な気がします。
とりあえず、なんかうまい定義ができるといいねって思います。
posted by 漢字中央警備システム at 01:29| Comment(0) | 日記(ゴーフ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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